SSブログ

ATOK 2011での仕様変更 - トレイ・アイコンはいずこ [ソフトウェア/PC関係]

ATOK 2011 for Windows [プレミアム] 通常版
今日発売のATOK 2011の,大辞林がついたプレミアム版。

今日は,ジャストシステムのかな漢字変換ソフト,ATOK 2011の発売日。

私はATOKの月額版を契約しているので,まだ早いかと思いつつも,2/10になったばかりの深夜,試しに「アップデートを確認」を実行してみた。すると,もう既にアップデート可能になっているみたいなので,早速アップデートしてみた。店頭販売に先行して,結構早くにATOK 2011を試したうちの一人だったのかも。

ところが,アップデート・インストーラの完了時に,なんだか気になるメッセージが。正確な文言は覚えていないが,タスク・トレイのアイコンが表示されなくなるとか何とか。どういうこと? と思いつつも,インストーラの指示のままにWindowsを再起動。で,タスク・トレイを確認してみると...確かにタスク・トレイに見慣れたアイコンが表示されていない。ありゃりゃ。どうも,ATOKパレットなる独自のツール・バーがなくなって,OS標準の言語バーに統合されたらしい。それって,ちょっとまずいなぁ。

私は,言語バーがデスクトップの隅っこに表示されているのが邪魔なので,タスク・バーに最小化して使っているのだ。しかし,言語バーを最小化すると,タスク・トレイを拡げたり縮めたりなんかしていると,表示領域のサイズがおかしくなって,全体が見えなくなってしまうのだ。これまでは言語バーなんてなくても困らなかったが,タスク・トレイ・アイコンがないとなると話は別である。なぜなら,ATOKのメニューを表示するのが不便になってしまうからだ。ATOK 2010までは,タスク・トレイ・アイコンを右クリックすればメニューが出てきた。しかしATOK 2011からは,言語バーに「メニュー」ボタンを表示するように設定して,そのボタンを押す必要がある。言語バーを最小化してしまうと,このボタンが表示されなくなってしまうことがあり,そうなると,いちいち言語バーを復元しないと,メニューを表示できないのだ。そんな面倒な話ってある? 変換効率の向上云々を体験する前に,ユーザビリティの大問題に遭遇してしまった。

何を大袈裟なと思うかも知れないが,文字入力に使うごく基本的なツールだからこそ,少しの使い勝手の悪さが致命的になる。前のバージョンより使いにくくなるなんて,言語道断というわけだ。プロパティを見ても,「パレット」のタブがなくなってしまっているし,タスク・トレイ・アイコンを表示するらしき設定も見当たらない。こんなところ勝手に変更しやがって...アップデートする前に言ってくれないとなぁ。これからこいつと付き合っていかなければならないと思うと,暗澹とした気分になってくる。せっかく,大辞林目当てに,プレミアム版を買ってもいいかな,とまで考えていたのに。

一夜明けて,少し気分を落ち着けて,普段滅多に見ないヘルプを探してみることに。キーワード検索で,「タスク・トレイ・アイコン」を探してみると,「ATOKパレットが表示されない」という項目がみつかった。どうせ,「ATOK 2011では廃止になりました」とか書いてあるのかと思いきや,「セットアップ直後の設定ではATOKパレットは表示されません」とあり,さらには「ATOKパレットを表示する」という項目まで。なんと,単にデフォルトの設定が変わっただけのようだ。

詳しくはヘルプを参照していただきたいが,ATOKパレットを表示するには,「プロパティ」の[入力・変換]タブで,[表示]-[ATOKの状態を言語バーで表示する]のチェックをはずせばよい。なんと。こんな直感的でない表現じゃ,気が付かないはずである。実際,チェックをはずして,[OK]ボタンで抜けると,めでたくATOKパレットが表示されるようになった。そして,パレットの右上の[トレイに格納]アイコンをクリックすると,今まで通り,パレットが消えてトレイ・アイコンが表示された。よかった。ついでにもう一度「プロパティ」を表示してみると,[パレット]タブまで復活している。どうなんだろうねぇ,このGUIデザインは。ソフトウェア・エンジニアの観点から見ても,あまり褒められたもんじゃないと思うんだが。

それにしても,どれだけ新しいインターフェースに自信があるのか知らないが,前バージョンと互換性のある設定があるにも関わらず,勝手に新しいインターフェースに切り換えてしまうやり方が気に入らない。ちょっと押しつけがましいですな。せめて,どっちを選択するか訊くべきなのでは。ソフトウェアは所詮道具。ユーザーが使いやすいと感じるものが使いやすいのである。どうもその辺の基本が分かってない,設計者や開発者が多いみたいだね。「品質」の定義をもう一度勉強する必要があるんじゃないだろうか。「品質」の尺度は,バグの数やどれだけ高度な機能を搭載しているかではなく,どれだけユーザーが満足したかなのだということを。


nice!(0)  コメント(14)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 14

ゆず

はじめまして。検索していたらこちらにたどりつきました。

ATOK2011に切り替えたのは良いものの、プロパティーにパレットに関するツールバーが見つからなくて当方に暮れていたところです。

これで2009の頃の環境に戻す事が出来ました。最後の方で仰っている、「勝手に新しいインターフェースに切り換えてしまうやり方が気に入らない。」には同感です。

最初はどこか設定を間違えたのかと思いましたもん。
by ゆず (2011-02-12 02:52) 

mmured

はじめまして、「ゆず」さん同様にgoogle検索していたらこちらにたどりつきました。

ATOK2011にバージョンアップしたのは良いが、タスクバーにATOKアイコンだけで充分に満足していた2010と比較して、11インチ画面のノートPCには邪魔で仕方ないです。

使い勝手の悪くなる改良ではなく改悪、どうしてこんなことになってしまうのか不思議です。

by mmured
by mmured (2011-02-16 20:01) 

Hiro

エンジニアというのは,得てして新しい思い付きに独りよがりになりがちなので,それを客観的に評価する部隊が別に必ずいるはずなんですけどね。

この記事にたどり着いた人がこれだけ沢山いると言うことは,完全にジャストさんの見込み違いだったということなんでしょう。問題が問題だけに,これまで使い込んでいた人ほど,不満に思ったのでしょうし。既存ユーザーは大事にしないと。

同じ,ソフトウェア開発に携わる一人として,他山の石としなければと思います。

まぁでも,解決策があっただけ,よかったと思いますよ。MS-IMEが腐ってる分,ジャストさんにはこれからも頑張ってもらわないと。Google IMEはまたちょっと違いますしねぇ。
by Hiro (2011-02-17 00:23) 

通りすがりん

ATOK2011のパレットでこまっていて助かりました。
言語バーに統一がデフォルト、かつわかりにくいというのは問題ですね。
by 通りすがりん (2011-02-17 12:02) 

etto

Justが変えたっていうより、MSの変更に合わせざるを得なかったというところだと思いますよ。
だからわざわざ、旧来のimm32モードも用意したんでしょうし苦渋の選択だったんじゃないでしょうか。二つの入力システム、ニコイチしてるようなものだし。
現にサービスを使わないと不具合がでているようです。
UIの変更に対する憤りはごもっともですが、ちょっとJustがかわいそうな書き方かなと思います。
タスクトレイへTSFのままパレットが追加できる方法が見つかるかMSから提供されればJustは喜んで復活させるでしょう。
下手すると次のWindowsだとタスクトレイごとなくなってるかもしれませんけどね。
by etto (2011-02-28 07:23) 

Hiro

ettoさん。情報有難うございます。私がかな漢に関わっていたのはもう15年も前の話なので,最近の事情はよく分かっていませんでした。今度,時間のあるときにでも勉強してみようと思います。

とはいえ,満足な説明もなしに,ユーザーにそんな裏事情のことを酌み取って理解してくれ,なんていうのは無理な話だと思いますよ。うまく説明できるかどうかも疑問ですが。Windows 7出荷後最初のリリースならいざ知らず,2回目ですし,現実に以前と同じインターフェースが実現できているわけですから。それを本筋でないと隠したのが,JUSTさん側の都合であることに変わりはありません。

まぁ私もソフトウェア開発者なので,MSに振り回される開発者の苦労は理解しているつもりですけどね。それをユーザーに見せないのが腕の見せ所なのではないでしょうか。
by Hiro (2011-02-28 13:12) 

etto

ご不満はごもっともだと思いますので、是非MSを糾弾していただきたく思います。

満足な説明もうまい説明もできないとは思います。
普通の人に説明しようとするとかなりの分量になるでしょうし、それではそういう人は読まないでしょう。

TSFを使うと対応していないアプリたとえばネトゲとかで不具合が、IMMを使うと新しいアプリで不具合が起こる状態で、どちらに転んでも誰かが迷惑を被るという残念な状態です。

またJustは気にしている人向けには、十分な説明とテストを繰り返した印象を受けます。
たとえば、メニューが表示しにくいということを問題にされてますが、カレット位置に入力モード表示があります、ここからもメニューは表示可能です。
個人的にはタスクトレイよりもこちらの方が便利に感じているのですが、これではいけないのでしょうか?
この表示も当初TSF上では安定動作が難しく、搭載されないかもという状態でした、しかしテスターからの要望で何とか製品版では搭載にこぎ着けた模様です。

貼ったWikipediaの記事を読まれる暇がなかったようなので、
7リリース直後で変更すると今以上の混乱を招いたのではないかと思われますし、TSF自体はXPから標準搭載です。
ですので今まで10年ほどは検討を重ねてきているかと推察できます。
これ以上はTSFを無視できないと判断するしかなかったのではないでしょうか。それをJustの都合だと切ってしまえばそれまでなのですが。

ただ、さすがにパレット表示をOS標準に合わせるのは文字入力の本筋ではないと思います。隠したわけでもないと思われます。

以前と同じインターフェースの実現というのも、XP対応などの理由はあるかと思いますが、TSF用のATOKとIMM用のATOKを2つ作ったということですからその労力は評価してあげてもよいのではないでしょうか。

逆にGoogle日本語入力はTSFを見切ってIMM32に逆戻りしてます。
この辺の判断は各社の思惑がありそうでおもしろいですね。

確かにHIの観点から見ると、簡単に切り替えられるようにするべきだと思いますが、それによって引き起こされる不具合を考えると、わかりにくい切り替え方にして素人さんへの敷居を高くした方がよいとの判断なのではないでしょうか。
以下、参考URLを貼っておきますのでご参照ください。

http://twitter.com/atok_tsf
http://ch00288.kitaguni.tv/e1723738.html
http://d.hatena.ne.jp/NyaRuRu/20070309/p1
http://d.hatena.ne.jp/topiyama/20100106/p1
by etto (2011-03-01 03:12) 

Hiro

詳細な背景説明を有難うございます。エンジニアとしてはなかなか興味深い内容ですが,話の方向を見失いそうなので,敢えて元に戻します。

ettoさんの見方は開発者に寄り過ぎなのではないでしょうか。私はIMEに対しては1ユーザーに過ぎません。ユーザーの立場からすれば,技術的背景なんで正直どうでもいいのです。結果として,何が出来るか,あるいは出来ないのか,使いやすいのか,使いにくいのか。それだけです。何故「十分な説明を繰り返した印象」をお持ちか分かりませんが,少なくとも私は,ATOK 2011をインストールするに当たり,何の説明も目にしなかったと思います(見落としていたら申し訳ないですが)。

「気にしているユーザー」とは誰のことなのでしょう。何年も前からATOKを使っていて,(変換効率はともかく:-) )特に問題を感じていなかった人に,何の説明もなくUIを変更するのはどうなのでしょう。

そんな裏側の話ではなくて,何故,インストール時にちゃんとした説明を表示するなりしなかったのでしょうか。IMM32とTSFの2つの方式があって,それぞれにどういうPros&Consがあるかを示し,選択はユーザーに任せればもっとよかったのではないでしょうか。新規インストールならともかく,アップグレードでUIを勝手に変えることに,誰も疑問を感じなかったのでしょうか。

「よくある質問」に「注意」なんて項目を用意されたって,目にしなければ何の意味もありません。むしろ,あんな項目を用意してあるということは,困るユーザーが出てくることを想定していたと考えられます。それなのに,何か不満が出るまで放っておくという考え方は,不誠実と言えないでしょうか。

どうも真意を理解してもらえないようなので,よほど不満が鬱積しているような文章に見えるかも知れませんが,回避策が見つかっている現時点では,Justさんに怒りを感じている訳ではありません。コンシューマ向けソフトウェアを開発・販売している企業としての姿勢に苦言を呈しているのです。Justさんは,キーエンスの傘下に入って,社内の文化が変わりつつあるとも聞きます。今回の件が,こうしたことの悪い成果のひとつでないことを願っています。

また,ご期待に添えず申し訳ないですが,本件についてMSを糾弾するつもりもありません。何故なら,私はTSFというフレームワークの直接のユーザーではないからです。TSFで何ができて,何ができないのか,何が問題なのか,よく理解できていない人間が文句をいう筋合いはありません。そういうのは,むしろJustさんがいえばいいことです。もっとも,MSが何か改善してくれるとは思えませんけど。所詮,日本語IMEの開発を日本人がやっていないような会社なのですから。
by Hiro (2011-03-04 09:12) 

Hiro

書き忘れましたが,「入力モード表示」では駄目なのです。ああいう邪魔なモノは表示しないのがポリシーですので。そうでなければ,そもそも言語バーを非表示にして使ったりしません :-)

それに,何か入力しないとメニューが出せないのでは意味がありません。それでも,ettoさんが便利だと感じていることを否定するわけではありません。所詮,UIに対する感じ方というのは人それぞれということです。
by Hiro (2011-03-04 09:27) 

kon

こちらのブログ、助かりました。Atok11の仕様変更、参っていました。
デフォルトの設定から色々変更してやっと、以前の「タスクバーに納める」ことができました。
[ATOKの状態を言語バーで表示する]のチェックを外そうとしてもグレー表示で変更できないし、、などと思っていたら、ヘルプに方法が出ていました。
ともかく、winodws7側の設定と両方をつつかないとできないとは面倒です。また、今までの使い方をしている人のためにも、ジャストシステムからの説明が欲しかったですね。
by kon (2011-08-18 20:43) 

Kacchin 2011.08.30

私もこのブログで助かりました。有り難うございました。
ATOK2010当たりから、変換効率等も含め変わったな!自己満足の傲慢な開発担当者に変わったのかな?とイライラしながら使っていて、2011に入れ替えてこれ!使い易さも重要な品質です。
本当に舐めるなよ!です。私は一太郎4.3時代からの愛用者で、国産JUSTの応援者を自負していましたが、今後は考えさせられました。
もし、開発者が自信を持って送り出したものならば、もっと丁寧な説明をすべきでしょう!


by Kacchin 2011.08.30 (2011-08-30 21:31) 

ATOKONCHAN

こちらの記事大変参考になりました。
UIを勝手に変えて使いづらくしてしまうというのはWindowsVista/7を連想しますね。どうやっても元の使い勝手に戻せない致命的なWindowsと比べれば、設定で元に戻せるATOKの方が圧倒的にマシ、かつ良心を感じますが。

>ユーザーが使いやすいと感じるものが使いやすいのである
これが全てですね。ある人にとって何が使いやすいか決められるのは本人だけという事で。
ユーザーフィードバックを軽視して貰っては困ります。

しかしテスターの意見を取り込んでいたなら不満が噴出する変更だという事は分かっていただろうに、なぜこうなってしまったのか気になります。アップグレード時の動作を従来モード準拠にするだけで劇的に不満は減っていたと思うのですが。
キーエンス傘下になってジャストシステムが変質してしまったのだとしたら、今後にも嫌な予感しかありませんね…
by ATOKONCHAN (2011-09-16 15:17) 

soulbicycle

ビックリしました。
言語バー大嫌いでオフっていたので、ありゃって感じでした。
ググってたどり着き一安心。
OS に統合するのは良いんですけど、旧インターフェイスと選択出来る様にして欲しいデスよねぇ。
by soulbicycle (2011-10-08 10:55) 

SGR48

助かりました。ありがとうございました。
by SGR48 (2012-01-03 16:51) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

ミッフィーさんの×プチ模様替え ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。