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O'REILLYの英断 [本]

Perl Hacks ―プロが教えるテクニック & ツール101選
こちらは,紙の書籍版「Perl Hacks」日本語版で,3150円。英語版は,ディスカウント価格で$19.69。やっぱり電子ブック版はかなりお得。

先日のB.フリーマントル氏の電子ブックは,私自身初めてお金を払って買った電子ブック。これに気をよくして,他に何か面白いものはないかと探していたところ,iPhone用のO'REILLYの本がお得だという情報を見つけた。紙の書籍だと,日本語版でも2~3千円以上するものがほとんどなのだが,iPhoneアプリだとほぼ600円均一になっているそうだ。これは安い。っていうか,電子書籍だったら,みんなこのくらいにして欲しいものだ。紙代も印刷代も,在庫や流通のコストもかからないんだから。O'REILLYは偉い。

iPad2でも勿論iPhoneアプリは使えるのだが,問題は表示が小さくなってしまうこと。あれで技術書を読むのは,かなり厳しい。拡大表示はできるけど,ただ文字が大きくなるだけで,1行の文字数が少ないままなので,あまり意味がない。せっかくお得なのに,勿体ないな~...と思っていたら,何とiPhoneアプリからiPad用の電子ブックに変換できるらしい。しかも,裏技でもなんでもなくて,O'REILLYも公認のやり方なんだとか。そもそも,何故そんな技が使えるのかというと,なんと,O'REILLYの電子ブックはDRMフリーなのである。この世知辛い世の中に,なんと寛容な姿勢。自分たちの権利を守ることばかりに汲々としている企業が多い中での,この英断。しかし,全然知らなかったなー。結構話題になっていたのだろうに。

という訳で,早速試しに「Perl Hacks」という本を買ってみた。iPadのメニューに登録されたアプリを実行してみると,やっぱり小さすぎて読むに堪えない。そこでまず,PCに繋いでiTunesと同期する。PCに同期されたアプリは,ユーザーのホーム・ディレクトリ("C:\Users\<ユーザー名>"など)の下,"Music\iTunes\Mobile Applications"の下に置かれている。ファイル名からそれっぽいものを探すと,"Hacks 1.0 1.ipa"というのがそれらしい。これは実はZIPファイルだそうなので,拡張子を".zip"に変更してから,エクスプローラの「すべて展開」などを使って展開する。出て来たディレクトリ・ツリーを,Payload→Hacks.app→bookの順に掘っていくと,"META-INF"と"OEBPS"という2つのディレクトリ,およびmimetypeというファイルがあるはずだ。これら3つを選択し,右クリック・メニューの[送る]-[圧縮(ZIP形式)フォルダー]を選んでZIPファイルを作る。できたZIPファイルの拡張子を".epub"に変えれば完成! 実に簡単だ。

iPadに転送するには,iTunesを起動してepubファイルをiTunesのライブラリに登録し,そこからiPadへドラッグ&ドロップ。後は同期すれば,iPadのiBooksのライブラリに登録される。開いて見ると,さっきまでiPhoneアプリだったのが嘘のよう。iPadの画面サイズで読むO'REILLY本は,紙の書籍にも引けを取らない快適さである。素晴らしいことだ。

DRMフリーの有難みは,これだけにとどまらない。Amazon.comが提供している,KindleGenというソフトを使うと,epubファイルを,Kindle用のmobiファイルへ変換できるのである。KindleGenのダウンロードはこちらから。Windows版と,Linux版,MacOS版が用意されている。現時点でのバージョンは1.2。

KindleGenはコマンドライン・アプリケーションである。Windows版の場合,まずダウンロードしたZIPファイルを適当なディレクトリに展開し,コマンド・プロンプトを開いてそのディレクトリへ移動する。先ほど作成したepubファイルをそのディレクトリにコピーして,

kindlegen <epubファイル名>

とコマンドを実行すれば,拡張子".mobi"のファイルが作成される。以前のバージョンでは,epubファイルの中身を編集しないとエラーが出たらしいが,現在のバージョンだとそのままで大丈夫みたい。

出来たmobiファイルは,Kindleへ転送すれば読めるようになる。iPadのKindleアプリの場合は,iTunesでiPadのAppタブへ行き,ファイル共有でKindleを選択して,そこへファイルをドラッグ&ドロップすればOK。iBooksで読むか,Kindleアプリで読むかは,お好み次第,というところだ。

実はこれだけでは終わらない。電子ブックが紙の書籍より便利な点と言えば,「辞書」である。iBooksやKindleでは,英単語を選択して,簡単に辞書を引いて単語の意味を調べることが出来る。技術書であれば,それほど辞書が必要なケースはないが,文学作品だと語彙のバリエーションが半端ではないので,どうしても辞書が必要になる。コンテキストから判断して適当に読み進めることも出来なくはないが,それでは折角原書を読んでいる醍醐味が損なわれてしまう。微妙なニュアンスを読み取るには,面倒でも,分からない単語や表現を辞書で調べる必要がある。ところが,電子ブックではこれがさほど苦にならない。

但し惜しむらくは,iPadやKindleの場合,その辞書が英英辞典なのである。英英辞典も慣れれば便利だが,英和辞典が使えるほうが手っ取り早い。そして実は,iPadには英和辞典も標準装備されているのである。残念ながら,ふつうの英語版電子ブックでは英和辞典を使うことが出来ないのだが,epubファイルをちょっといじることで,英和辞典が利用可能になるらしい。

やり方は至極簡単だ。先程epubファイルを作った時の,"OEBPS"というディレクトリに,拡張子".ofp"のファイルがある。これを適当なテキスト・エディタで開き,"<dc:language>"というXMLタグを探すと,そこに"en"が指定されているはず。電子ブックの言語が英語であることを示しているものだ。これを,"jp"に変更して保存し,再度ZIP化してepubファイルを作成する。これをiPadに転送してiBooksで開いて見ると,英和辞典が引けるようになっているはずだ。

もしやKindleでも...と思って,"jp化"したepubをKindleGenに喰わせてみたところ,サポートしていない言語ということで,エラーになってしまった。残念。

英語版と言うことで,O'REILLYの電子ブックに二の足を踏んでいた人も,これでだいぶ敷居が低くなったのではないだろうか。こんなことが出来るのも,O'REILLYがDRMフリーの電子ブックを出してくれているからこそである。こういう会社こそ,応援してあげたくなるというものだ。勿論,DRMフリーだからといって,違法コピーは厳禁。1冊わずか600円だし,O'REILLYの意気に応えるためにも,必要なものはどんどん買ってあげたいものだ。

さて,次は何にしようかな。


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