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my 2 cents [言葉]

メリーポピンズ スペシャル・エディション [DVD]
"タペンス"繋がりで,「メリー・ポピンズ」のDVD。

一緒に仕事をしているUSのメンバーで,メールに時々"my 2 cents"という言葉を使ってくる人がいる。2セントとは,金額としても余りに安いし(今のレートだと2円以下),文脈からも,自分のこれから述べようとしている意見が,2セントの価値しかない,と謙遜していう時の決まり文句のようなものだということは分かる。英辞郎にも「自分の意見」と「つまらないもの」という2つの訳が載っている。しかし,気になるのは,何故1セントではなく2セントなのか,ということ。ただ安ければよいのなら,1セントの方がキリが良い。

英語版のWikipediaで調べてみたところ,語源には諸説あるらしい。元々はUKで使われていた言葉で,金額の単位は"セント"ではなく"ペニー(複数形はペンス)"だったようだ。で,ポーカーの1ゲームの参加料(ante)が2ペンスだったとする説があるそうだが,Wikipediaでは根拠となる資料はないとしている。

その代わりに,最初に挙げているのが"Lesson of the widow's mite"という聖書の中のお話。賽銭箱に群衆が金を投げ入れている時に,1人の貧しい未亡人がコインを2枚だけ箱に入れた。それを見ていたイエスは,大金持ちが投じた大金よりも,未亡人の全財産である2枚のコインの方が価値がある,と弟子に話したというお話だ。「マルコによる福音書」の12章,「ルカによる福音書」の21章に含まれている。「マイト(mite)」というのは,エルサレムで使われていた昔の通貨の最小単位らしい。ここから,UK,USそれぞれの最小通貨単位ペニーとセントのコイン「2枚」となったという説である。もっともこれだと,金額は安いけど,価値が高い,ということになって,全く謙遜になっていない気もするのだが。

この他,別の英語の表現である"a penny for your thoughts"との関連性を指摘する説もあるようだ。この表現は,何か考え込んで黙りこくっている人に対して,何を考えているのかを問う時の決まり文句である。1ペニー払ったら,1ペニー余分に2ペンス返って来た,ってところだろうか。これはこれで,なかなか洒落が効いていて面白い。

結局,どれが本当の語源かは分からないが,ちょっとしたことでもやっぱり何かしら謂われがある訳で,こういうのを調べてみると楽しいですな。

因みに,「2ペンス」は普通,英語で"two pence"と書くのだが,くっついて"twopence"になると,発音も「タペンス」のように変化し,さらに発音に合わせて綴りも変化して,"tuppence"という単語が存在する。こういうのがまた英語の面白いところ。日本人がこれだけ見たら,別の単語かと思うよねぇ。ところでこの「タペンス」,どこかで聞いたことがあると思ったら,ディズニー映画「メリー・ポピンズ」の中に,聖堂の前で鳩の餌を売っている老婆のシーンがあって,そこでジュリー・アンドリュースが歌っていた"Feed the Birds(邦題:2ペンスを鳩に)"の歌詞に何度も出て来たのだった。"Tuppence, tuppence, tuppence a bag."と歌う部分が,妙に印象に残っている。2ペンスが鳩の餌の値段として一般的なのかは分からないけど,聖堂の前ということもあるし,"Widow's mite"の話と類似性を持たせているのだろうか。


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