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疑惑のオリンパス [時事/評論]

ビジュアル 株式会社の基本 (日経文庫)

なんだか,オリンパスがとんでもないことになってますな。英国人の元社長を解任したことから発覚した疑惑の数々。本業とは特に関係のない会社を,異常な高額で買収しただけでなく,その際の手数料を慣行よりも遙かに高く,怪しげなペーパー会社に支払った,などなど。英Finacial Times紙はじめ,海外の様々なメディアで報道されていることから,不可思議な買収が過去に行われたことはまず間違いないし,大株主や東証からの要求に応じて,実際に一部事実を認めている模様。

これって,極めて重大な問題だと思うのだけど,日本の一般紙ではほとんどまともに扱われていない。その理由として考えられるのは,オリンパスが各紙の重要な広告主のひとつだから,というもの。そんな馬鹿なことってあるか? 新聞・報道とは一体何なのか。公正とか正義なんてものがとっくに失われていることは分かっているが,こうあからさまにスポンサーを特別扱いする姿勢を見せられては,もはや新聞に公共的な価値などない。ただの利益追求型の一般民間企業である。「社会の公器」なんて言葉を金輪際使って欲しくないし,報道の権利を振りかざすのもやめて欲しい。寧ろ,そういった既存の特権を,すべて剥奪すべきである。

大手新聞各紙は,この夏頃からこぞって,電子版の有料化を始めている。しかし,そもそもこの手の新聞に,金を払う価値などあるだろうか。掲載される記事のほとんどは,記者発表されたものそのまま。記者会見での質問だって,事前に調整されたような当たり障りのないものか,頓珍漢なものばかりだし,特に突っ込んだ取材結果が掲載されることはほとんどない。独自の主義主張も皆無で横並び。その上,大スポンサーたる大企業の不正はできるだけ報道しない。こんなもののどこに価値があるというのか。これなら,記者会見なんて閉鎖的な仕組みをすべて廃止して,Webで直接情報を公表すれば良いだけだ。役に立たないものが廃れていくのは世の常である。

オリンパスの話に戻ると,この不可解な買収劇が行われた背景が,過去の粉飾決算の辻褄を合わせるためのもの,という指摘があり,個人的にはもっとも説得力を感じた。会社に明らかに巨額の損失をもたらすはずの取引の動機なんて,経営陣が私腹を肥やそうとしているか,不正を隠そうとしているかのどちらかしか考えつかない。私腹を肥やすにはあまりに露骨で巨額だしね。しかし,もしそれが真相だとすると,ライブドアの粉飾決算どころではない,社会的にも重大な不正であり,日本の恥である。ライブドアをあれだけ執拗に叩いたくせに,オリンパスに対して見て見ぬ振りとは,あきれてものも言えない。やっぱり,あれはただの弱いものいじめだったってことか。

もっとも,法の番人たる裁判官すら,公正と正義の意味を忘れてしまっているようなこの国では,一私企業にそんなことを求めるのは,どだい無理なのかも知れない。

とはいえ,海外でこれだけ騒がれてしまった上に,ハリス・アソシエイツやサウスイースタン・アセットといったUSのFundが株式の9%を握っている状況で,オリンパスのような国際企業の重大な不正が,うやむやで済まされることはないだろう。いい加減,一部の有力な経営者が会社を私物化するという,悪しき伝統ともいえる日本的経営が,世の中に通用しなくなっていることに気付くべきである。「株式会社」という仕組みの基本すら理解できないで,資本主義だの国際化だの語るのは,片腹痛い限りである。


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