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舌足らず [言葉]

美しい日本語の響き―母国語を知り、外国語を学ぶためのレッスン
「美しい日本語の響き」。これって,昔懐かしき「クイズ・ダービー」の篠沢教授の本なのか。ご病気で大変だったみたいですな。

最近,TVを見ていてかなり気になっているのは,「手術」の発音。ドラマの俳優や,バラエティの芸人は勿論,ニュースを読むアナウンサーまで,皆明らかに「しゅずつ」と言っているのだ。確かに,「しゅじゅつ」は発音しにくいけれど,「しゅじゅつ」と言おうと努力して,その結果「しゅずつ」になってしまっているのではなく,端からそう発音するつもりで「しゅずつ」と言っているように聞こえる。「しゅじゅつ」と発音することを,初めから諦めてしまっているみたいなのだ。これは一体どういうことなんだろう。

そもそも,そんなに難しい発音だろうか。早口言葉でもあるまいに,言って言えない言葉ではないはず。一般人ならいざ知らず,発音の訓練を受けているアナウンサーが,こんな単語も正しく発音できないのだろうか。情けない話だ。

同様に違和感を感じる人もいるらしく,こんな記事を見つけた。この人は,放送文化研究所や民放TV局に取材したそうだ。それによると,NHKでは,「しゅずつ」と聞こえたとしても,「しゅじゅつ」と発音しようとしているはず,と言っているらしい。そりゃ嘘だね。「じゅ」と発音しようとして,あんなはっきりとした「ず」になるはずがない。「ゅ」の名残もないのだから。一方,民放局は,「しゅずつ」でもオンエアOKという基準らしい。ほら,やっぱり諦めてるんじゃないか。

確かに,言葉は生き物であり,人々が実際に生活の中で使っていく内に,徐々に滑らかに発音できるよう変わっていくものである。音便なんかはその例だろう。しかし,「しゅじゅつ」→「しゅずつ」を同じと考えて良いのだろうか。あくまでも「術」なのである。「術」を「ずつ」と読むのか? どう考えても美しくない。

あくまでも想像だが,無理に「しゅじゅつ」と言おうとすると,「しゅじゅちゅ」になってしまいがちなので,それでは恥ずかしいから,「しゅずつ」でOK,とお茶を濁しているのではないか。少なくとも,TV以外で,あんなにクリアに「しゅずつ」なんて発音するのを聞いたことはない。これは生活の中で自然と変化するのとは違って,もはや意図的な言葉の破壊である。そして,破壊の中心的役割を果たしているのは,またしてもマス・メディア,「TV」なのである。日本人はTVの影響を受けやすい。TVを見た人が勘違いして,「しゅずつ」が定着していってしまっては悲劇だ。

日本語は,正しく上手く使えば,とても音の美しい言語なのだがね。そういうことを大事に思う人間は,徐々に減っていっているのだろうか。


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