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まだまだ現役だったC++ Builderの無料版を試してみる [ソフトウェア/PC関係]

失礼ながら既に過去のものと思いこんでいた,C++Builderがまだしっかり現役であることを今日たまたま知った。現行バージョンは11で,リリースは昨年の9月である。前身のBorlandのTurboC++のバージョン1.0からしばらくかなりお世話になっていたので,なんだか嬉しい気分になる。何しろ当時は,C++コンパイラが無料で簡単に手に入るという状況ではなく(機能的に制限のあるものが限定的に無料で配布されていたことはあったが),学生が個人で手軽に購入できるようなC++コンパイラはTurbo C++しかなかった。しかもちょうどANSI C++の規格が発行されたばかりの頃で最新の標準規格のC++コンパイラが使用できるということでかなり興奮したものである。その後,バージョンが上がるごとにきっちりアップデートして最終的にはBorlandブランドのC++Builderの初期バージョンまで使っていた記憶がある。そんな訳でBorlandのプログラミング言語製品がEmbarcadero に売却されたときは言いようのない寂しさを感じていたものだ。他にもTurbo AssemblerやらTurbo Debuggerやら果てはDelphiまで購入して使っていたので一つ一つは安価でもBorlandにはトータルでかなりの額を投資していたのである。

その後Embarcaderoからは古い言語製品が無料で配布されたりしてはいたものの,所詮古い製品であり,無料で各種の高品質なC++コンパイラが利用できる現在では懐古趣味的な興味しか持てないものだった。以来すっかりC++Builderのことは忘れていたが,そんな期間もしっかり進化を続けていたようだ。去年のリリースではあるがC++20には未対応とは言え,C++17には対応している。専用のパッケージ・マネージャでインストールするだけで利用可能なBoostライブラリも用意されている。で一番重要なのは無料のCommunity Editionが利用可能なことだ。これは製品版のProfessional Editionと機能的にほぼ同等な上に,制限付きとは言え,個人であれば営利利用もOKという太っ腹なものだ。利益が大きなソフトウェアを開発する場合には有料版を買ってくれということのようだ。有料版の価格はそこそこいいお値段がするのだが(しかも最低一年はサポートも込みにしないといけないらしい)儲かりそうな場合に金を払えば良いというのなら,十分リーズナブルと言える。但し,Community Editionは最新バージョンではなく1つ前のリリースのようだ。つまり現在利用できるCommunity Editionは10.4.2である。10.4.2の製品版のリリースは去年の2月なので,実質半年くらい遅れているだけである。どうしてもバージョン11の新機能が使いたいというのでなければ10.4.2で充分であろう。そうでなくても少し待てば11も利用可能になるようである。

大いに興味をそそられたので,試してみることにした。ダウンロードするにはEmbarcaderoへの無料ユーザー登録が必要だ。私の場合は元々IDを持っていたのでそれを使った。ダウンロード・サイズが140Mバイト程度だったので随分コンパクトだと思ったら所謂ダウンローダーだった。実際にインストールしてみたら1Gバイト以上はダウンロードしていた。動作環境ののWindowsは8.1以降とのことだが,8.1でインストーラを起動したらサポート対象外だというメッセージが表示されたのはご愛嬌だろう。対象外と言われても,インストールを続行したら,そのまま問題なくインストールは完了した。途中でシリアル・ナンバーの入力を求められるが,ダウンロード時に使用したIDのメール・アドレスにシリアル・ナンバーが送付されてくるのでそれを入力すれば良い。このシリアル・ナンバーのライセンスは1年のようで,期限が来たら再発行が可能らしい。その頃には新しいバージョンがリリースされているだろうから,インストールし直すのも良いだろう。

インストール後,手始めに「コンソールアプリケーション」の新規プロジェクトを作ってみた。空っぽのmain関数を含むソース・ファイルが自動生成されるので,そこに自分のやりたいことを追加していけば良い。ここで早速一つ謎が...。今時当たり前ではあるが,C++Builderのコンパイラは64ビット対応なはずである。しかし,新規生成されたプロジェクトのターゲット・プラットフォーム欄には「Windows 32ビット」という表示。ドロップダウン・リストになっているが拡げても64ビットという選択肢はない。今時32ビットがデフォルトというのも不思議だが,問題は64ビットに変更する手段がわからないこと。あちこちのメニュー項目を試してみたがそれらしい設定はない。そこでようやくヘルプを検索してみることに。そうしたらすぐ見つかった。新規生成されたプロジェクトのウィンドウのの右上に表示されている「Project1.cbproj -プロジェクト」とタイトル・バーに表示されているペイン(プロジェクト・マネージャというらしい)にツリー表示されている中の「ターゲット・プラットフォーム」を右クリックしてコンテキスト・メニューの「プラットフォームの追加」を選択。「プラットフォームの選択」という小さなダイアログが表示されるので,そこで「Windows 64ビット」を選択してOKボタンを押せば良い。まぁ最初からヘルプを見ればよいだろうと言われるだろうが,操作が今ひとつ直感的でないことは否めない

次にBoostライブラリの使用であるが,これは最初に書いたように自分でインストールする必要がある。それにはC++Builderのウィンドウのメニュー・バーから[ツール]-[GetIt パッケージマネージャ]を選択する。表示されたウィンドウの左のペインから「カテゴリ」の下の「C++ Libraries」を選択すると右ペインに利用可能なライブラリが一覧表示されるがリストの最初の方に「Boost 1.70 for the Win64 Toolchain」というようなのが見つかるはずだ。これがwindows 64ビット用のようだ。バージョン番号は時期によって変わるかも知れない。これをクリックすると「インストール」ボタンが現れるのでそれを押せばインストールが開始される。インストールが完了するとソース・ファイルでBoostのヘッダ・ファイルを読み込んで使用可能になっている。

まだ使い込んだわけではないので正確なところはわからないが,MSのVisual Studioに比べると動作は軽いような気がする。おまけに未検証だがiOSやAndroidのプログラムも作成可能なようだ。一瞬,「おおっ!」と思ったが,iOSのプログラム開発ではやはり結局Macが必要らしいので,どれだけ有難味があるものかはよくわからない。私的に少し気になるのはIDEのエディタの使い勝手である。改行が表示されず,実際のファイルの行末に本当にスペース文字があるなしに関わらずカーソルが自由に置けてしかもそこに文字を挿入できるという仕様になっているようでとても気持ちが悪い。意図せず無用なスペースを入れてしまいそうなインターフェースと言える。何らかの設定ができるのかも知れないが。

もう少し使い込んでみないとよくわからないとは言え,C++17とBoostライブラリを手軽に試してみる環境としては面白いのではないだろうか。


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