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英語の学び方 [本]

やり直し教養講座 英文法、ネイティブが教えるとこうなります (NHK出版新書 346)

本屋をぶらぶらしていて,ふと目にとまった本が面白そうだったので,買ってみた。NHK出版新書の「英文法、ネイティブが教えるとこうなります」(デビッド・セイン/森田修著)。

まぁありがちとも言えるが,中学・高校で習う英語と,実際に使われている英語とのギャップを埋める内容。各種のトピックが,英文法書の見出しになるようなテーマ別にまとめられている。「冠詞と名詞」,「前置詞」,「時制」,「助動詞」...などなど。日本の学校教育としての英語は,英文法を公式として覚え込ませる方式だが,自然言語はそんな単純なものではない。我々日本人は,日本語をふつうに正しく話すことが出来るが,だからといって皆が日本語文法を理解している訳ではない。自分の話している言葉を,厳密に文法に則って解析しようとすると,いろいろ例外があったりして難しいものである。勿論,基本文法を理解しておくに越したことはないが,本来はたくさんの文例を見て学び,そのニュアンスを理解するべきなのである。

この本では,私も未だに迷うことのある「冠詞」の持つニュアンス,「前置詞」のニュアンスなどが解説されていて,参考になる。受験の頃,英熟語とかいって,山ほど動詞・形容詞と前置詞のペアを覚えたものだったけど,ああしてただ詰め込んだだけのものって,すぐ忘れてしまうんだよね。言葉なので,暗記することも必要なのだけど,何故そこで「of」なのか,「with」なのか,ってことを考えることが,英語をより深く理解することに繋がる。私の頃は,そうした参考書はまだ少なかったけどね。高校の頃,ちょっと変わった英語教師が紹介してくれた本に,そういうことが少し載っていて,目から鱗が落ちる思いがしたものだ。

私が日々英語を使う中で,時々悩むのは「時制の一致」。複文で,主節に合わせて従位節の動詞の時制を変える,というやつだ。例えば,「ミーティングがあると聞いた」という時,

I heard we had a meeting.

というのが時制の一致という意味では正しい。しかしこれには,読む側からすると曖昧な点がある。つまり,ミーティングが,「聞いた」時点より後の事なのは明らかだが,話している今の時点より,前なのか後なのかが分からないのだ。文脈で特定できる場合もあるが,そうでない時は,何かしらの手段で確実に伝えられないと困る。こんな時,自分は敢えて

I heard we have a meeting.

としている。従位節の動詞を現在形にすることで,そのミーティングが,話している時点より後に行われることを明示しようとしているのである。文法書を見ると,時制の一致には例外も認められてはいるようだが,いかんせん例文が少な過ぎて,このケースが当てはまるのかどうかはっきりしない。先の本,「英文法、ネイティブが~」には,「時制」の章で似たようなケースの説明がある。曖昧さを排除するために,ネイティブが時制の一致の規則を破るケースがあるそうだ。別に文法の厳密さに神経質になっている訳ではないのだが,ちょっと安心。

ところで,この本の著者の1人,デビッド・セイン氏は,似たようなタイトルの本をたくさん出しているのだが,青春出版社から出てる次の2冊のタイトルがちょっと頂けない。

・その英語、ネイティブは笑っています
・その英語、ネイティブはカチンときます

こっちこそ「カチン」とくるタイトル。実際,おかしな英語になってしまってることはあるのだろうけど,そんなことを気にする必要があるのは上級者レベル。一般に日本人にありがちな問題は,正しい英語を話そうということばかりに神経質になって,実際に言葉が出なくなってしまうこと。言葉は口に出さない限り,コミュニケーションに繋がらない。初級者は,ブロークンでも何でも,まず話すことが重要なのである。実際,中国とか韓国とかの人は,端から聞いてて滅茶苦茶な英語でも,ガンガン発言するからね。USなんて,雑多な人種から構成されているので,下手な英語に対しては,かなり寛容といえる。だからどんどんしゃべるべきなんだけど,こういうタイトルの本が氾濫していると,その勇気を挫きそうで心配になってしまう。

日本人の国民性からすると,こういうタイトルの方が刺激的で,より興味を引くのだろうけど,この国際化の時代に,こういう姿勢こそ払拭していかないと。そういう意味で,青春出版社みたいな大衆向けの出版社には,コンプレックスを助長するようなタイトルは自重して貰いたいものだ。


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