8コア・マシンとvSphere

"Mastering VMware vSphere 5"(洋書)

ちょっとどっきりした話。

先日，会社でサーバーを購入した話を書いた。PCなら人並みには分かっているつもりだが，サーバーを買うのは初めて。メーカーが出してるガイドと首っ引きで，与えられた予算内に収まる構成を検討して注文した。組み立ては若い人に任せて見ていたのだが，まるで自作PCのよう。CPUをソケットに挿して，メモリも挿して，HDDもセットして。自作PCと違うのはその数。CPUが4つだもの。メモリは128GBだし。待望久しい，パワフルな開発環境なのである。

ソフトのセットアップの方は，趣味も兼ねて自分でやることにした。こんだけメモリ積んで，何をやるかと言えば，やっぱり仮想環境なのである。この日のために，って訳ではないけど，あらかじめ購入してあったVMwareの出番。RAID5を構成して(これもマニュアルと首っ引き)，ESXiをインストルーするまでは順調。ところが，ESXiをアクティベーションするのに，ライセンス・キーをインプットすると，

入力されたライセンスキーはこのエンティティ用の十分なキャパシティがありません

というエラー・メッセージ。はぁ? 入力し間違えたかと思って，何度か試して見るもダメ。一体どういう事?

何か手順を間違えているだけだと思って，Webでいろいろ調べてみると，ちょっと不安な情報が。このメッセージは，CPUのコア数がライセンスの上限を超えている時に出るらしい。購入してあったVMware vSphere 4 Standardのライセンスを確認してみると，6コアまでと書いてある。おや? 何か問題が? このCPUって，6コアじゃなかったっけ，とホスト・マシンの情報を参照してみると...8コア?! どういうことなのか，記憶を呼び起こしてみる。たしかに最初買おうとしていたのは6コアのモデルだった。でも，見積もりが予想外に安かったので，最後の最後に8コアに変えたのであった。あちゃー，すっかり忘れてた orz。じゃぁ，このマシンでESXiは使えないってこと? ハード/ソフト合わせてうん百万もしたのに。これはやばすぎる。

焦っていろいろ調べてみたところ，1つのCPUに2つの6コア・ライセンスを適用して，12コアまで使えるようにする，という方法があるらしい。VMwareのライセンス・ポータルでは，ライセンスを分割したり，統合したり，いろいろ出来るようになっている。手持ちは6CPUのライセンスなので，2つの3CPUライセンスに分割して，3CPU構成のマシンにこの2つのライセンスを適用すれば，8コアでも使えるはず。最悪，CPUを1つ引っこ抜くしかないか。すごく勿体ないけど，使えないよりはまし。

少しホッとしつつも，相変わらず悲しい気分でさらに調べていると，"vSphere 5アップグレード"というのが目に留まった。そういえば，バージョンアップしてたんだっけ。vSphere 4 Standardは，ソフトウェアと一緒に最低1年のサブスクリプションを購入しなければならない。サブスクリプションの有効期間内にバージョンアップがあった場合は，無償でアップグレードが可能だそうだ。アップグレードしたら，コア数の制限が緩和されていないだろうか...と諦め半分で確認してみると，なんとライセンス形態が大幅に変更されたらしい! コア数の制限が撤廃されて，vRAMの総量とやらで制限する方式に変わったみたい。これがまたちょっと分かりにくいのだが，VMに割り当てたメモリ量の合計? Standardだと1CPU当たり32GBなので，4CPUのホストだと128GB。奇しくも，搭載している物理メモリ量と一緒である。ってことは，一応メモリも無駄にならないと言うことか。

vRAMの制限については，もう一度よく確認しなければいけないが，なんか結果オーライっぽくなってきた。vSphere 5のことなんて頭になかったし，vSphere 4 Standardの6コア制限を覚えていれば，8コアのマシンは諦めていたはず。結果的に，CPUを引っこ抜く必要もなく，8コア4CPUを4つのCPUライセンスでフルに活用できるという訳だ。うん百万が無駄にならなくて良かった。まったく冷や汗ものである。寿命がちょっと縮んだかも。まぁ，まだvSphere 5のISOイメージをダウンロードしてきただけなので，CDに焼いてインストールしてみるまでは安心できないけど。それは来週のお楽しみ。

という訳で，既存のvSphere 4ライセンスを使う場合は，購入するマシンの構成にお気をつけあれ。