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2冊読むのに4ヶ月... [本]

顔をなくした男(上) (新潮文庫)
B.フリーマントル氏の最新作「顔をなくした男」(新潮文庫)

3月から読んでいた,B.フリーマントル氏の最新作「顔をなくした男」,上・下2巻を,ようやく読了した。2冊の本を読むのに,なんと4ヶ月。6月に発売された原書「RED STAR BURNING」が出るより前には,とっくに読み終わる見込みだったのだが,なんでこんなに時間がかかったのだろう。フリーマントル氏の本では異例のことだ。

はっきり言ってしまえば,今ひとつ面白くなかった,というのが正直なところだ。こう言っては何だが,ストーリーがもたもたしていて,緊迫感がない。風采が上がらないながらも,プロ中のプロであるはずのチャーリー・マフィン自身の行動に,なんとなく切れが感じられない。MI5とMI6の両部長による足の引っ張り合いも,緻密さに欠けて安っぽい感じ。どう考えても,これだけの枚数をかけて語るほどのストーリーではないのだ。だから,読むスピードに全然勢いが乗ってこない。そして極めつけは,未完だということ。下巻のラストで,話が何も完結しないのだ。元々3部作とはいえ,1作目の「片腕をなくした男」では,それだけで完結したストーリーだったので,明らかな違いがある。こんなことなら,3作目が出てからまとめて読んでも良かったくらい。

そんな訳で,せっかく時間をかけて読み終わったのに,なんだか徒労感ばかりが残ってしまった。フリーマントル氏らしからぬ中途半端さ。3作目は,チャーリー・マフィン・シリーズ全体としても,最終作となると聞いているのだが,果たして期待しても大丈夫なのだろうか。30年越しの愛読シリーズであり,それだけ思い入れもあるので,期待に違わぬ作品になってくれることを祈るばかりだ。来年になるのか,再来年になるのか分からないけれど。先は長いなぁ。


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