今CMで流れてる陽水の曲

LOVE COMPLEX 井上陽水

最近，耳慣れた昔の曲がやたらにCMでかかっている。井上陽水の「Make-up Shadow」だ。トヨタの「ブレイド」という車のCMらしい(検索しないと分からない位印象になかった)。むしろ歌い慣れた，というべきか? 歌詞こそ怪しいが，細かいメロディも独特の歌い方のアクセントまでしっかり覚えている。確か，浅野温子と佐藤浩市が共演したドラマの主題歌で，アップテンポなメロディが当時から好きだった曲だ。1993年発表のアルバム「UNDER THE SUN」に所収。クレジットによれば，作曲は陽水自身ではなく「彩目映」となっている。いかにも偽名くさい怪しい名前だが，当時はあまり気にしていなかった。久々にアルバムを引っ張り出して聴いていると懐かしく，ついでにちょっと調べてみると，この曲のアレンジも担当している「佐藤準」が作曲もしているらしい。同じアルバムの中の「ストイック」では，陽水と共作ながら「佐藤準」名義になっているので面白い。ドラマのオープニング・ロールとかで流れるのを意識したのだろうか。

変な名前を気にしたのはもう一つ別の理由もあった。陽水の最新アルバム「LOVE COMPLEX」の中に，「長い猫」という不思議なタイトルの曲があって，作詞が「依布(いふ)サラサ」との共作になっている。これも全く気に留めていなかったのだが，先日とある番組の中で，陽水自身が娘との共作だと話していたのである。いやぁ，全然知らなかった。そういうのを知ってて聴くのとそうでないのとでは，またちょっと印象が違うような気がするのが面白い。単にミーハーってだけなのかもしれないが。因みに「長い猫」の由来は，スタッフと娘に，それぞれ別に形容詞と名詞を考えさせ，それを繋げてできたものとのこと。歌詞に対して畏まらないそういう姿勢も陽水らしい。

あやしい夜をまって 井上陽水

「UNDER THE SUN」では，他にも共作が多い。ラストの「長い話」の作曲は，"BAnaNA"こと川島裕二との共作。陽水の曲の中でも珍しく，シンセサイザーを多用した「Yellow Night」の独特のアレンジは彼によるもの。安全地帯には元々キーボードがいないが，全盛期のライブやアルバムでキーボード全般を担当していたのも川島裕二である。ステージで見せる奇抜なヘア・スタイルも印象深かった。数年前に薬物使用か何かで捕まったというニュースがスポーツ紙に載っていたが，今はどうしているのだろう。

「Yellow Night」が収録されている「あやしい夜をまって」は，1981年の作品ながら，古くささを感じさせないバラエティに富んだユニークな曲ばかりでオススメの1枚。「My House」とか，「天使inマガジン」，「星空へHappy Game」などが結構お気に入りである。しかし，アルバム「スニーカーダンサー」からのファンなので，もうかれこれ28年にもなるのだなぁ。