EZwebメールでIMAP [ソフトウェア/PC関係]
auのスマホやケータイで使われている,EZwebメール。所謂キャリア・メールで,基本的に端末でしか利用できないものだ。しかし,去年の9月末までは,au oneメールという,Gmailをベースとしたサービスを使って,PCからも読み書きできていた。ところが,au oneメールのサービス終了が発表され,後継サービス提供がアナウンスされるも,当初の予定より延期。結局,いまだ後継サービスは開始されず,不便な状態が続いている。こういうところに,auの企業ポリシーというか,サービス品質の低さを感じざるを得ない。
この後継サービス,最後の発表によれば,今年春に開始されるはずだった。もうあと2週間ちょっとで4月。気づかない間に,もしや何か新しい発表があったのではないか,と調べてみたところ,期待はあっさり裏切られたが,まったく別の,興味深い情報を見つけた。
なんと,EZwebメールが,IMAP経由で読み書きできるというのだ。これは,EZwebメールをiPhoneでサポートするための仕組みらしく,auからやり方が公表されている訳ではないらしい。しかし,もし出来るのなら,こんなに便利なことはない。au oneメールの時と違って,PCから送信しても,本当にスマホから送信されたように見えるはずだ。そうなれば,厳密にケータイ以外からのメールを拒否する受信フィルタをかけている相手にも,PCからメールが送れるということになる。iPhoneサポートのためということだから,そんなにきわどいやり方ではないだろうと考えられるので,早速試してみることにした。
まずやるべきことは,「#5000」という宛先に,「1234」というSMSメッセージを送ること。機種によって,標準のSMSアプリではダメだったりするらしいのだが,私のAQUOS PHONE SERIE(ISW16SH)では問題なく送れた。すると,すぐにSMSの着信があり,その中にURLが含まれているので,そこへブラウザでアクセスする。
このURLのページは,iPhoneからのアクセスを想定しているので,Androidなどからアクセスするとエラーになる。ではどうすればよいかというと,ブラウザのUser-Agent偽装で回避する。
User-Agentというのは,HTTPプロトコルで,クライアント(ブラウザ)からサーバーに送られるヘッダの1つ。これで,ブラウザは自分が何者かをサーバーに通知するのだが,サーバー側では,これを使って,ブラウザの種類に応じて違うレスポンスを返すことが出来る。逆に言えば,User-AgentにiPhoneと同じものを指定して送れば,サーバーはクライアントがiPhoneだと信じ込むという寸法だ。
とは言え,普通のブラウザは,そのままではUser-Agentを変更する機能を持たない場合が多い。「そのままでは」と書いたのは,プラグインやアドオンで可能になる場合があるからだ。AndroidのFirefoxの場合,"Phony"というアドオンが使える。こいつをインストールして,メニューから「Phony」を選ぶと,User-Agentを設定するパネルが表示される。その中から,予め用意されている「iPhone」を選び,先ほどのURLをもう一度表示する。今度はちゃんとページが表示されるはずなので,その中から「手動設定」というリンクを探す。そしてそれをクリックすると,別のページが表示され,そこに「設定情報送信」というリンクがみつかる。これをまたクリックする。ページは,IMAPのサーバー情報の表示に切り替わり,程なく別のSMSメッセージが届く。このSMSメッセージが重要で,その中に,IMAPサーバーのユーザーID(EZwebメールIDとは異なる)とパスワードが書かれている。これらの情報を使って,IMAPをサポートしている好みのメール・アプリケーションにアカウントを作ることができる,という訳だ。
なお,このままだと,スマホの方には,EZwebメールの新着通知が行われなくなるらしい。そこで,もう一度,今度は宛先「00090015」に,「1234」というメッセージを送る。すると,「iPhoneからの機種変更設定が完了しました」というSMSメッセージが届く。これで,元通り新着通知がなされるようになる。
早速,Thunderbirdにアカウントを作り,メールを同期させてみた。確かに,最近受け取った記憶のあるメールがリストされる。なるほど,これは便利だ。しかし,どうもメールの数が少ないような。ググってみたところ,EZwebのメール保存期間は30日らしい。その通り,メールの日付が,最近30日程度の範囲に収まっている。しかし,IMAPでメール削除されるのは困る。せっかくPCにダウンロードしておいても,サーバーから削除されたタイミングで,同期する時にPC上のメールも消えてしまう。そもそも,IMAPとはサーバーにメールを溜めておくシステムなのに,これでは意味がない。サーバー側の必要ディスク容量が増大するので,IMAPのサポートを嫌がるメール・プロバイダもあるくらいだ。
もしかしたら,30日の期限はEZwebのもので,IMAPに切り替えた後は,30日で削除されることはなくなるのかもしれない。これについては,引き続きチェックが必要だ。ただ,その間,本当にメールが消えてしまっては困るので,EZwebメールの設定で,メールをGmailに自動転送するようにしておいた。
かくして,au oneメールの後継サービスを待つことなく,同等以上の手段を手に入れることができた。満足。やり方を調べてまとめてくれた先人たちに感謝である。しかし,こんないいものがあるなら,auも積極的に公開すればいいのにねぇ...。
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